蝉の抜け殻
秋の肌触りのする風が吹いていた
時間待ちをしていた。
大きな椿の木があって
下を覗き込んだら
蝉の抜け殻が鈴なりになっていた
優しくなった陽射しに反射しながら
触れるとカサカサゆれて
夏への旅立ちの跡って感じがしていた
でもその中に少し色が濃く重たそうな抜け殻があった
それは抜け殻ではなかった
抜けきれなかった
蝉の骸だった
背中はばっかりと割れていたけれど
少し背がこんもりとでていたけれど
羽は出る事はなかった
そのままの姿で硬くぶら下がっていた
雨で冷えたのかな
力がなかったのかな
そんなことを思いながら
私の中の抜けきれなかった骸が
ゆらゆらと揺れた。
もうすぐ秋が来るよ
葉も落ちて
土へかえって
もうすぐ秋が来るよ
重さも硬さもなくなって
もういちど
夢みよう
あの空の
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