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2010/08/16

たん たん たぬきの・・・

 
 ターミナルケアが続いてる
 時代は在宅介護の方向だ
 方向だけ

 腎不全、100才に近い女性の方
 お盆までくらいかな・・・ドクターは言っていた

 今日も半日を一緒に過ごした
 アイスクリームが大好きで
 すぐアイス食べたい・・・と言われる。

 昼夜逆転していて、家族は気力体力とも限界のようだった
 
 なるべく、昼間は起きていて欲しくて
 一緒に歌なんか歌う
 
 もし もし 亀よ 亀さんよ・・・・この歌は続きが長い・・・

 愛しても 愛しても あああ~ 人の妻~♪
 
 なんとゆう選曲だ。。。好きらしい・・・過去にそんな思い出が???

 そのうち 「 たん たん タヌキの・・・・・なんやったかいな?」

 呼吸も途切れ途切れに聞かれる

 手を握って、苦しいと言われるお腹をさすりながら。。。

 「たん たん たぬきの・・・・古時計 ~♪」と歌うと
 「ちがう」と言われた・・・・
 たぶん私は戸惑いながら・・・・「うーーーん、なんだっけ?」と
 ごまかすと
 「たん たん たぬきの・・・・なんだっけ?]と聞かれる


 えーーーーっ。これはマジにこたえなきゃいかんの?
 私はまた 「たん たん たぬきの古時計~♪」と繰り返すと
 
 「ちがう」と相変わらず目をつむったまま、私の手を離さず答える・・・・
 でも、私は気がついた・・・口元がゆるんだ事を・・・

 「うーーん、どうしても言わせたい?」と聞くと
 酸素チューブを鼻から口へと移して・・・ふざけて「うんにゃ~」と笑った。

 私が困るのを楽しんでいたのだ・・・

 「ふん! まけないぞ! 特別に歌います!!」

 ベットの枕元に顔を寄せると・・・・もう片方の手で私の頭を包んでくれた
 私ももう片方の手を背中にまわした・・・ハグである

 自分の祖母でもない人と、自分の孫でも子供でも嫁でもない人と
 こんな風に自然にハグできて
 心が通うのだ…
 
 この仕事をしていてよかったと思える最高の瞬間

 耳元で・・・・「たん たん たぬきの・・・・・・  ぶらぶら!」
 
 笑いあった・・・・  こんな死の瀬戸際で笑う声が響いた・・・
 

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