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2010/12/05

小春日和

小春日和

                  

動物園の猿山を見ていた
ベンチに腰掛けて
長い間見ていた

                  

猿山を見ていた
猿山を見ている家族を見ていた
乳母車の中から
白い小さな手が伸びて
その手をお母さんが握りかえした
そして
いつのまにか いなくなった

                  

猿山を見ていた
猿山を見ている恋人達を見ていた
いつも向き合っている
時々猿山を見て 何か話しては
同じように笑っていた
そして
いつのまにか いなくなった

                  

猿山を見ていた
猿山を見ていた老夫婦を見ていた
見ている時に見ていない
見ていない時に見ている 横顔に語って
確かめなくてもいい 微笑があった
そして
いつのまにか いなくなった

                  

猿山を見ているとあきないけれど
さあ帰ろうと
仰け反り大きく伸びをすれば
高く
どこまでも高く 空へとぬけていて
猿山を見るように見られていると
見上げたまま笑ってしまった

                  

紅葉の赤も 乾きはじめ
竹とんぼのような種が飛んで行くのを目で追った
銀杏は黄色の絨毯を敷き終り
見上げれば秋が隙間だらけ
木の下では
優しい風と光に舞うもの
それを追いかける子供達の声が
空へとのぼっていった

                  

今日

秋が終った

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